投与における重要ポイント
投与前
投与前の確認事項
適応となる患者
効能又は効果
閉塞性肥大型心筋症
効能又は効果に関連する注意
・ | 症候性の閉塞性肥大型心筋症患者に投与すること。 |
・ | 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、併用薬、左室駆出率等)を十分理解した上で、最新のガイドライン等を参照し、適応患者を選択すること。[17.1.1-17.1.3参照] |
・ | NYHA心機能分類Ⅳ度の患者における有効性及び安全性は確立していない。「NYHA心機能分類Ⅳ度の症例及び試験期間中にⅣ度に悪化した症例」参照 |
適応とならない患者 禁忌(次の患者には投与しないこと)
注意が必要な患者 特定の背景を有する患者
相互作用
本剤は、主にCYP2C19及びCYP3A4によって代謝される。
併用禁忌
#1:「適応とならない患者 禁忌(次の患者には投与しないこと)」を参照ください。
併用注意(併用に注意すること)
#2:「投与シュミレーターと用量調節」を参照ください。
【参考】
本剤を弱いCYP2C19阻害剤であるオメプラゾールと併用投与したとき、本剤の曝露量(AUC)は48%増加し、Cmaxへの影響は認められませんでした5),6)。本剤を中程度のCYP3A4阻害剤であるベラパミルと併用投与したとき、本剤のAUC及びCmaxはそれぞれ16%及び52%増加しました6),7)。本剤の血中濃度が上昇すると、収縮機能障害による心不全を引き起こすおそれがあります。
カムザイオス投与開始前の患者選択、投与前、投与中及び投与終了後に、投与されている患者さん又はご家族に説明を行う際、以下のチェックリストを参考にしてください。全ての情報を網羅するものではありませんのでご注意ください。カムザイオス®適正使用ガイド「患者さんへの説明」を併せてご確認ください。
患者選択
【特定の背景を有する患者】
【併用薬の確認】
□ | 患者さんから病歴を聴取し、心不全のリスクが高まるおそれがある不整脈(心房細動又はその他のコントロール不良の頻脈性不整脈を含む)等の重篤な合併症や、冠動脈バイパス術、弁膜症手術、心筋切除術、心臓移植等の手術予定の有無を確認してください。 |
□ | 患者さんが現在服用中の薬剤(処方薬及び市販薬を含む)を確認し、本剤との薬物相互作用のリスクや、ハーブサプリメント及びグレープフルーツジュースとの飲み合わせについて患者さんへ指導してください。 |
□ | カムザイオス服用に関連する心不全のリスクを患者さんに説明してください。症状の悪化や持続、新たな呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫が発生した場合は、速やかに医療機関を受診するよう指導してください。 |
□ | 医師に相談することなく、服用を中止、薬剤の用量を変更しないよう指導してください。 |
□ | 患者さん用冊子 「カムザイオス®カプセルを服用される患者さんへ」、患者さん用カード 「カムザイオス®を服用している患者さんへ」を患者さんへお渡しください。 |
□ | 過量投与や服用忘れ、服用が遅れた場合の対応について患者さんに指導してください。 |
□ | 治療開始から4週間後に次の心エコー検査を行うことを説明し、来院の予定を計画してください。 |
□ | 妊娠可能な患者さんに対して、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間は、妊娠を避ける必要性と適切な避妊法の必要性について指導してください。投与中に妊娠した場合や妊娠の可能性に気付いた場合は、直ちに主治医等に連絡するよう指導してください。 |
患者さんへの説明
本剤の投与に際しては、患者さん又はそのご家族に、本剤の効果や副作用、副作用の対処法、避妊の重要性等について 十分に説明し、患者さんが理解したことを確認してから本剤の投与を開始してください。
患者さん用冊子、患者さん用カードをご用意しております。説明の際はご活用ください。
本剤の投与中に異変を感じたときや妊娠の可能性に気付いたときは、速やかに主治医に相談するよう指導してください。
投与における重要ポイント投与前チェックリストと、投与における重要ポイント投与中を併せてご確認ください。
【患者さんへご説明いただきたいこと】
□ | この薬は、心臓の過剰な収縮を抑えて症状を改善しますが、収縮機能が低下しすぎると心不全になるおそれがあるため、投与開始4週間後に心エコー検査を行います。投与開始12週間以降は、特に問題がなければ12週間ごとに心エコー検査を行います。重要な検査なので、忘れずに診察を受けるようにしてください。 |
□ | 心不全の症状(呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫等)に気付いたときは、速やかに医師に連絡し、診察を受けてください。 |
□ | この薬の副作用として、浮動性めまいが起こることがあります。 |
□ | この薬は、特定の作用を有する薬と併用すると効果が増強又は減弱する可能性があり、その結果、心不全のリスクが高まるおそれがあります。現在使用している薬やサプリメントがあれば、主治医に知らせてください。また、新たに薬やサプリメントを使用する場合は医師に相談してください。 |
□ | この薬は、動物実験で胚致死作用及び催奇形性が認められており、妊娠すると胚や胎児に害を及ぼす可能性があります。 |
□ | 投与中及び投与中止後4ヵ月間は、効果の認められた避妊法を実施してください。また、投与中に妊娠又は妊娠の可能性に気付いたときは、すぐに主治医に連絡してください。 |
□ | この薬は乳汁中に移行する可能性があるため、授乳しないことが望ましいでしょう。 |
□ | この薬を服用中は患者さんカードを常に携帯し、他の医療機関を受診する際には医師、看護師又は薬剤師に本剤を服用していることを必ずお伝えください。 |
CYP阻害剤の例
無印 For Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systemsに記載がある薬剤 |
* | 本剤の電子添文に記載がある薬剤 |
** | 本剤の電子添文及びFor Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systemsに記載がある薬剤 |
なお本邦で未承認の薬剤は英名で記載。また、販売中止の製剤は記載していない |
※1 | 定義:感度の高い基質のAUCを5倍以上に増加させる薬剤 |
※2 | 定義:感度の高い基質のAUCを2倍以上5倍未満に増加させる薬剤 |
※3 | 定義:感度の高い基質のAUCを1.25倍以上2倍未満に増加させる薬剤 |
※4 | For Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systemsではelvitegravir and ritonavir、lopinavir and ritonavir、indinavir and ritonavir、paritaprevir and ritonavir and (ombitasvir and/or dasabuvir)、saquinavir and ritonavir、tipranavir and ritonavirの記載がある |
※5 | 感度の高いCYP3A基質のAUCを5倍以上増加させた(例:buspirone) |
※6 | グレープフルーツジュースの効果は製品間で大きく異なり、濃度、用量及び調製方法に依存する。研究では、特定の調製方法(例:高用量、double strength)を使用した場合は「強いCYP3A阻害剤」に分類され、他の調製方法(例:低用量、single strength)を使用した場合は通常「中程度のCYP3A阻害剤」に分類されることが示されている |
※7 | 感度の高いCYP3A基質のAUCを2倍以上増加させた(例:buspironeのAUCを2.35倍増加させた) |
※8 | 1日200mgの投与量に基づく。1日400mgの場合、影響はより強くなる可能性がある |
注) | ボリコナゾールは中程度のCYP2C19阻害剤でもあるが、強いCYP3A4阻害剤で本剤では併用禁忌に該当するため、強いCYP3A4阻害剤のみに記載 |
電子添文
For Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systems
https://www.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling/healthcare-professionals-fdas-examples-drugs-interact-cyp-enzymes-and-transporter-systems#table%201
より抜粋(2025年3月参照、最新の情報にはご留意ください。)
CYP誘導剤の例
無印 For Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systemsに記載がある薬剤 |
* | 本剤の電子添文に記載がある薬剤 |
** | 本剤の電子添文及びFor Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systemsに記載がある薬剤 |
なお本邦で未承認の薬剤は英名で記載 |
※1 | 定義:感度の高い基質のAUCを80%以上減少させる薬剤 |
※2 | 定義:感度の高い基質のAUCを50%以上80%未満減少させる薬剤 |
※3 | 定義:感度の高い基質のAUCを20%以上50%未満減少させる薬剤 |
※4 | セント・ジョーンズ・ワートの効果は大きく異なり、調製方法に依存する |
※5 | PBPKシミュレーションに基づく |
※6 | 1日200mgの投与量に基づく。1日400mgの場合、影響はより強くなる可能性がある |
※7 | 1日200mgの効果に基づく。より高用量(400mg/日)ではCYP3Aに対する誘導効果がより大きかった |
電子添文
For Healthcare Professionals | FDA’s Examples of Drugs that Interact with CYP Enzymes and Transporter Systems
https://www.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling/healthcare-professionals-fdas-examples-drugs-interact-cyp-enzymes-and-transporter-systems#table%201
より抜粋(2025年3月参照、最新の情報にはご留意ください。)
1)Martis S, et al.:The Pharmacogenomics Journal. 2013;13:369-377(PMID:22491019)
[利益相反]著者にBristol-Myers Squibb社から講演料を受領した者が含まれる。
2)Sugimoto K, et al.:British Journal of Clinical Pharmacology. 2008;65:437-439(PMID:18241287)
3)Ota T, et al.:International Journal of Medical Sciences. 2015;12:78-82(PMID:25552922)
4)Ionova Y, et al.:Clin Transl Sci. 2020;13:1298-1306(PMID:32506666)
5)社内資料:海外第Ⅰ相試験(MYK-461-018)(2025年3月27日承認、CTD 2.7.2.2.12)
6)Perera V, et al.:Clin Pharmacol Drug Dev. 2023;12:1241-1251(PMID:37771180)
[利益相反]資金提供:MyoKardia社(現Bristol-Myers Squibb社)、著者にMyoKardia社及びBristol-Myers Squibb社から助成金、報酬、コンサルティング料を受領した者及び社員が含まれる。
7)社内資料:海外第Ⅰ相試験(MYK-461-009)(2025年3月27日承認、CTD 2.7.2.2.4)